2019/04/08[mon] update

シンガー 杏沙子さん

いろんな人の気持ちに、
自分を重ねられるようになった。

シンガー 杏沙子さん
撮影協力/月と太陽BREWING(札幌市中央区南3条東1丁目3番地)
耳を楽しませてくれるポップな音楽を届け、次世代シンガーとして大注目の杏沙子(あさこ)さん。若者に支持されている彼女に、アルバイトのエピソードや働くことによって何を得たかを尋ねた。

車に乗っている間中、歌い続けた幼少期。

杏沙子さんの出身は鳥取県。北海道と同様に車が移動手段のメインを占めるため、小さなころはカーステレオから流れる音楽をよく聴いていたと微笑んだ。
「中でも母は松田聖子さんやドリカムさん、aikoさんが好きで、物心付いた時から車中で母と一緒にず〜っと歌ってました(笑)。小学生のころには歌手を夢見るようになったけど、恥ずかしくて卒業文集に『夢は歌手になること』と書けなかったことを覚えています」
杏沙子さんは中学校に入学するとバドミントン部で汗を流した。高校では軽音楽部に入ろうと思っていたものの、進学先には音楽関係の部活が吹奏楽部くらいしかなかったとか。そのため、高校時代はトランペット奏者として活躍。
「吹奏楽部に入部する子って、中学時代からの経験者がほとんど。私のように未経験からのチャレンジャーは他にいなくて、しかもヘタだったからコンクールにはあまり出してもらえませんでしたね(苦笑)。ただ、一人ひとりの楽器の音を聴き合いながら仲間と一緒に一つの音楽を作っていくという経験は、良い学びになったと思います」
高校時代、歌手になりたいという思いは日に日に募っていったが、歌を届けるために何をするべきか分からず、一歩を踏み出したくても踏み出せなかった。歌手になるには、まず音楽の先端を走る首都圏に行かなければならない。そう考えて、横浜の大学に進学した。
「東京都内から大学に通うことも考えましたが、いきなり大都会に住むのはちょっと怖くて(笑)。初めての一人暮らしは横浜でスタートしました」

ミスを思い返すと、今でも胸が苦しく!?

杏沙子さんが初めてバイトにチャレンジしたのは大学1年生の冬。仲の良い先輩がチーズ料理レストランで働いていたことから、ホールスタッフの仕事を紹介してもらったのがきっかけだ。
「高校生のころは校則でバイトが禁止だったので、働いてみたいという気持ちがずっと強かったです。あと、先輩からはまかないにチーズ料理が出ると聞いていたのも決め手の一つかな(笑)。とってもおいしかったですし、一人暮らしの私には助かりました」
最初のうちは慣れない仕事に苦労した。シルバーもの(スプーンやフォーク類)を落としてしまったり、高価なワイングラスをあわや割ってしまいそうになったり、小さなミスを挙げるとキリがないと振り返る。お客様の洋服に飲み物をこぼしてしまった経験は、「今思い出しても胸が苦しくなるほど落ち込んでしまいました」と苦笑した。
「でも、そんな時に手を差し伸べてくれたのが店長。仕事が忙しい時、私はいつの間にか笑顔が消えていましたが、店長は常に微笑みを絶やさない素敵な方でした。新メニューをバイトのメンバーに振る舞ってくれたり、私の音楽トークを聞いてくれたり、良い思い出ばかりです」
杏沙子さんは大学2年生からオリジナルの楽曲づくりをスタート。知り合いのイベンターに「歌手になりたい」と打ち明け、小さなライブハウスに出演したことから音楽活動の幅を広げていった。
「最初は月に1回くらいのペースでオリジナルとカバーを歌っていました。自分の楽曲が増えるにつれてオリジナルだけ披露するようになり、ライブの回数も月に2〜3回と増えていったんです」

バイトと音楽活動の両立は良いリズム!

杏沙子さんは大学を卒業するまでチーズ料理レストランでバイトを続けた。店長やバイト仲間に、歌手を夢見て音楽活動に打ち込んでいることも伝えていたという。
「ライブの日程に合わせてシフトを組むようにしていましたし、急遽出演が決まった時もバイト仲間が快く代わりに出勤してくれました。私のCDを買ってくれたり、ライブに来てくれたり、家族みたいに仲が良くて本当に恵まれた環境だったんです」
そんな思い出を振り返りながら、杏沙子さんは「実は今でもバイトをしたいって思う時があります」といたずらっぽく笑う。大学卒業後、念願だった歌手デビューを果たしたにもかかわらず、一体どうしてなのだろう。
「当時はバイトで一生懸命働いた後、曲づくりをすることも多かったんです。クタクタになって帰宅し、お風呂に入っている時に浮かんだメロディもあります。バイト中は無心になって集中しているからでしょうか、その分だけ音楽と向き合う時間も凝縮されていた気がして。きっと、良い生活リズムだったんだろうなぁって思うんです」
最後にバイトが今の杏沙子さんにとってプラスに働いたことを尋ねると、即座に「人のことに思い至れる力が身に付いた」と答えが返ってきた。
「私は一つの職場しか経験していませんが、ちょっとした視線や仕草からお客さんがお水のおかわりを望んでいることに気付いたり、食器を片付けたらバイト仲間が楽になるだろうという配慮ができたり、人が何を考えているのかに思い至れるようになりました。この力を育むには実践あるのみ。誰かの気持ちに自分を重ねるのは、歌詞づくりや多くの人と音楽を制作する際にも役に立っています!」

杏沙子さんの思い出バイト

チーズ料理レストラン
お客さんへの「いらっしゃいませ」がクセになって、自分が他の飲食店にいても思わず口をつきそうに(笑)。

プロフィール

杏沙子
鳥取県出身のシンガー。2016年に初のオリジナル曲「道」を発表し、本格的に音楽活動をスタート。2018年7月11日にミニアルバム「花火の魔法」にてメジャーデビュー。2019年2月13日に1stフルアルバム「フェルマータ」をリリース。彼女が表現する歌詞の世界観は各方面からの注目を浴びている。
オフィシャルサイト:http://asako-ssw.com/

インフォメーション

●最新リリース情報
「フェルマータ」

■初回限定盤/VICL-65093 3,456円(税込)
■通常盤(CD)/VICL-65094 2,916円(税込)

本人作曲以外の楽曲提供/サウンドプロデューサー陣には名うてのミュージシャンが参加。単なるポップアルバムとしてだけではなく緻密に練り上げられたサウンドを堪能することができる1枚。中高生中心に大きな話題となった、インディーズ時代の代表曲「アップルティー」の新録バージョンも収録。